霧島の日記(完結)

書く理由がなくなったので完結しました

2017.3.5

日曜日。

 

11時起床。憂鬱な目覚め。寝起きはいつも悪いが、最近は特に。スマホをチェックして何の連絡も入っていないことを確認し、ブルーな気分になる。ないと分かってはいるけど、もしかしてあの人から連絡が入っているかも、という淡い期待があり、その分つらい思いをするのだ。

 

昼過ぎに家を出て、東京青山に向かった。今日は菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラールの公演初日だった。本当はあの人と一緒に観に行くつもりだった。しかし、それも叶わず。だが、他の誰かと行く気にもならず、一人で観ることにした。

いつも素晴らしいペペではあるけど、今日の演奏は特に冴え渡っていたように思う。緊張感やキレ、アンサンブルのバランス。バンド名の示す通り(色男による砂糖漬けの拷問→ダンス性の強い演奏を着座で聴かせ、踊りの欲求を抑圧する仕打ち)、踊りたいのに踊れないというコンフリクトがもたらさた。

演奏はMCなしで1時間半目いっぱい行われた。アンコールもなかった。限られた時間を善き音楽で最大限満たそうという音楽家の矜持を感じさせた。

美しい演奏を聴いている間は、日常の憂鬱や辛苦を忘れることができた。苦しみや悩みに対して、直視しない、忘れるということもまた抗いの手段である。ここの所、自力ではどうすることもできない苦悩に対してまともに組み合い、不必要に自分を傷つけていた。今日の演奏を聴いて、そんなことを思った。しかし、だからといって、人生から憂鬱を取り除けるとは思わないが。痛みと共に生きていく宿命だ。