霧島の日記(完結)

書く理由がなくなったので完結しました

2017.4.2

日曜日。

 

昼頃起床。布団を干した。

昼食はボンゴレ。出来はまあまあ。

 

溜まっていたレシート類を整理。家計簿はエクセルを使っている。以前は紙の家計簿を使っていたけど、どう考えてもデータで扱った方が楽だ。

支出をあれこれ記入していると、その当時の出来事や思い出が蘇ってきて、いろんな気持ちになる。友人と美味い物を食べに行ったり、飲んだり遊んだりしたことや、意中の人と出かけたこととか。思い出は物に宿る。物だけではなく、景色や音やにおいにも。レシートが起こす感情もなかなかのものだ。

ところで、レシートでは全ての支出記録を網羅しきれない。自販機とか、レシートをくれない店とか。なので、口座残高の年間推移と、家計簿上の収支を突き合わせて、差分を計上漏れ支出として扱うことにしている。しかし、去年の差分がマイナス値になり、混乱に陥った。ここでマイナス値が出てくるのは、計上漏れ収入があるという意味になるが、心当たりがない。何か記載上の誤りがあったのだろうか。謎なので、放っておくことにした。別に誰も困らない。自分が年間の大体の収支を把握できればいいだけなので。今年はそういうことが起きなければいい。

 

記帳も長らくしていなかったので済ませた。楽器のローン返済を見ると、何とも言えない気分になる。さっさと一括で返済したい。その額は既にある。返済手数料が惜しい。奨学金返済分も引かれているけど、無利子なので、こちらは急いで返す必要はない。後は、カード用口座の取引記録も閲覧。月額、年額サービスの支払い、ネット通販やiTunesの支払い、高速道路の利用料支払などなど。金のことを考えると気分が塞ぐ。

収支にまつわる諸情報を取得し直した上で、さらに家計簿を更新。源泉徴収票を眺め、また気分が塞ぐ。金が欲しい。人間の心を安定させるのは愛と金だ。結婚、住宅や車の購入、税金の支払い、ローンの返済、子供の教育費、種々の保険、病気、入院。将来不安が駆りたてるのは貯蓄の欲求だ。歳を重ねるほど、そういう夢のないものに振り回されるようになる。そして節約、節約、節約。想像しただけで心が痩せる。そしてさらに、馬鹿げた労働。そそり立つ中指。

 

楽器の練習。反復が養うのは、筋肉と運動神経。基礎力が自由をもたらす。

 

服を買いに行った。モールの中を巡り、品定めをし、気に入ったものを買った。帰りにガソリンを入れた。また支出。

 

明日は新職場での労働。考えるだけで鬱陶しい。日曜の終わりは、悲しみ。

2017.4.1

土曜日。雨。

 

昨日は3時過ぎくらいに寝た。だから、目が覚めるのは12時くらいだと思っていたけど、実際には9時ごろには目覚めていた。疲れていても朝に目が覚めるのは社会人としての身体が出来ているからだろう。悲しみ。

 

敬愛する先輩からライブに誘ってもらった。何ならバンドに参加することも打診されているが、それについては慎重に検討している。また前のバンドの時のように、不本意なことになるのが怖いからだ。だけど、彼の演奏を聴くのはとても好きだ。プレイヤーとしても人間としても尊敬している。

 

午後にはレンタル屋にDVDを借りに行ったり、クリーニングや買い物など、雑用を済ませた。職場替えの荷物整理も。

それから、購読中の漫画の新刊を読み、溜まっている書籍を読み、楽器を練習し、映画を観た。要するに、予定がないから、好きなことをして過ごした。

観た映画ははじまりのうた。すでに観たことがあったけど、また観たくなった。改めて、音楽の素晴らしさ、多幸感が訴えられていて、愛に満ちた映画だと感じた。わざわざ引き合いに出すのも野暮だが、デイミアン・チャゼル監督には音楽や愛について学び直してもらいたい。なぜ音楽という同じ題材を用いても、これほどに結果に差がついてしまうのか。愛の不在ゆえだろう。

 

彼女と交際が始まったことは喜ぶべきことだけど、これまでの紆余曲折を踏まえると、この状況にすぐに適応できず、少々困惑してもいる。いずれ慣れるだろうけど、まだ頭が混乱している。もうしばらく時間が必要になりそうだ。

2017.3.31

金曜日。夕方から雨。

 

労働。配置換えにより現職場最後の勤務だった。後始末、あいさつなど、それなりに煩わしかった。4月からはまた当分煩わしい時間が続くと思われる。特に歓送迎会。楽しいと思ったためしがない。

 

駐車場の契約替え。面倒。とはいえ、引っ越しとかそういうのが絡む人に比べれば、比較的楽な切り替えだけど。諸々含め。新社会人のしんどさを考えれば、別に特段のものではない。新社会人って、人生で最も悪しき時期だから。自分のことを振り返ると。

 

夜はデート。映画を観に行った。本日公開のアカデミー賞受賞のやつ。とてもよかった。真剣に、丁寧に作られているのが伝わってきた。音響も映像も脚本も演技も、総合的に優れていたと思う。静かで地味に動いていくストーリーテリングだったけど、無駄がなく、張りつめた感覚があり、だれることなく映し切っていた。久々に高い満足度。いい映画をチョイスできた。

相手とは映画の感想を述べ合ったりなどしていたけど、お互いの関係について話し、交際を始めることになった。この2か月間、たまらない気持ちで過ごしてきたけど、ようやく一つの区切りがついた。

待たされるいたたまれなさに動かされて、心情を吐露するためにこの日記を書いてきたけど、その意義の半分は果たされた。恋愛についてこれ以上あれこれ書かないでおこう。それは第一に不誠実な行為だし、第二に馬鹿馬鹿しいことだからだ。

とりあえず、安眠と心の平穏が得られそうでほっとしている。これからは心身の健康に努めていきたい。苛烈な恋愛感情に翻弄されて、少し疲れてしまったから。

2017.3.30

木曜日。

 

労働。

送別会。

以上。

 

あれ。何にもない。

明日は夜にデートなので、支度をした。

何にもなさ過ぎるので本を読もうとしたが、疲労と眠気でうたた寝してしまう。アゲインストのしようもない日であった。労働に全て持っていかれた。

 

明日に疲労を残すわけにはいかない。こういう日もあると諦め、一日を締めよう。

2017.3.29

水曜日。

 

労働。

 

帰りがけにラーメンを食べた。今日はやたら空腹を感じたので、半チャーハンと餃子を付けたらとてもちょうど良かった。いつもなんでもとてもちょうど良ければいいのに。ちょうど良い感じに寝て起きて、ちょうど良い感じに食べて、仕事に飽きたらやめにして。なぜそれができないのか。ちょっと無理をしないと生きられない。悲しみ。

 

楽器の練習。毎日反復していると、同じことがだんだん楽に正確に演奏できるようになる。練習の上で重要なのは、動作をすみずみまで認識すること。速さよりも正確さ。そして反復。

採譜もやった。映画『はじまりのうた』のサントラからLost Stars。コードは驚くほどシンプルで、ほとんどダイアトニックコードから成る。曲の良さはメロディと歌唱、アレンジの良さによるものだろう。いかにアレンジが重要であるか。いずれ演奏してみたい曲の一つである。

 

ようやくあの人とのデートを取り付けられた。それだけで気持ちがかなり安定する。曖昧で宙ぶらりんな関係になって久しいけど、そろそろ決着をつけられれば。いたずらに時間ばかり過ぎるのは、こと恋愛においては好ましくない。

それにしても、この季節というのは気温の変化も激しいし、年度の変わり目で人間相手に疲れることも多い。恋愛で気持ちが不安定になっていると、ちょっとしたことでぐっと落ちそうで怖い。

2017.3.28

火曜日。

 

労働。憂鬱。死。あまり考えてもろくなことが浮かばないので、考えないでおこう。

 

帰りに菓子折りを買いに行った。謝罪ではなく感謝のために。和菓子の贈り物はあまり受けなさそうな気がしたので、洋菓子を。洋菓子でも生菓子では日持ちが悪いので焼き菓子を。モールに行けば選び放題だと思い込んでいたが、モールの中にはあまりそういう店は入っていなかった。条件が悪いので別に店を探したが、どこも夜はあまり長くやっていないところが多く、探すのに苦労した。たまたま近所の店が条件に合ったので行ってみたら、ちょうどいい焼き菓子が置いてあったので助かった。買い物には苦労したけど、気晴らしにはなった。

 

夕食後はひどく眠かったが、変な時間に寝るといろいろおかしくなるので、起きていることにした。初めは本でも読もうかと思ったが(眠気を堪えて読書をするのも過酷だが)、やはり曲のコピーをすることにした。コピーをそこそこ続けてきたおかげで、それなりにスムーズに音を拾えるようになった。コピーの対象はルバートなイントロで、記譜するのが大変なのでコピーだけにした。

 

すごい疲労感。神経痛も軽く出ている。多分睡眠が足りていないのだろう。もうずいぶんと不摂生な生活をしている気がするけど、これが蓄積していつかひどいことになりそうな気がする。危機感。

本当はそれなりに時間もあるし、ゆっくり休んだり、十分な睡眠をとって生活することも可能なはずなのだが、つい何かをしてしまう。仕事だけして生きていたら、それは仕事だけの人生だ。自分がそうなってしまうことへの忌避感や恐れがある。仕事のためだけに生まれてきたかのような生き方。間違ってもそんな風にはなりたくない。だから、疲れていても何かをしてしまうのは、労働へのアゲインストであり、生まれ持った性なのだ。

2017.3.27

月曜日。午前中は雨。

 

労働。憂鬱なる。いつになっても労働が馴染まない。労働向きに生まれついていない。

 

帰宅後は曲の採譜。バンドネオンのソロを落としていたけど、あまりに難しくてしんどいので少しの間放っておいた。しかし、早めに仕上げてしまいたい気持ちになったので集中して取り組んだら、仕上がった。今日の余暇のほとんどが採譜に費やされた。

1コーラス1分半くらいのソロで、奏者が3人なので3コーラス分の採譜。サックス、ピアノ、バンドネオンバンドネオン奏者は本格的なタンゴ奏法の技能を備えており、パルスに縛られない優雅で自由な、そして音数が多くて音域の広いソロを披露している。本人は譜割りのことを考えずに、完全に感覚でプレイしている。それこそ器楽奏法の神髄だと思うけど、採譜する側からすると、よくいってやりがいに溢れている。しかし、採譜殺しの鬼畜さである。

難しい曲の採譜はソフトウェアの支援なしでは厳しい。再生はAmazing Slow Downer、記譜はMuseScoreを使っている。前者は有料、後者は無料。手書きによる記譜もいいけど、修正を加えることやプレイバック機能のことを考えると、ソフトによる記譜は便利だ。

 

そして一日が終わった。意義ある余暇を過ごせたが、疲れたので仕事を休みたい。採譜には意義を感じるので、多少の苦労も耐えられるけど、仕事には金銭以外の意義を感じないので、少しも耐えられない。仕事は悪。悪即斬。