霧島の日記(完結)

書く理由がなくなったので完結しました

2017.2.13

月曜日。仕事。

デスクワークで一日中座りっぱなし。

 

昼食は売店の弁当だったが、失敗作なので割引です、とのことだった。確かにひどい出来だった。しかし、こんなことでも退屈な日常に変化がついて、救いになる。

 

働いて過ごした一日は、どう振り返ってもネガティブな感情しか起きない。金の代わりに大事なものを失くしている。

 

ラ・ラ・ランドはきっと楽しい映画だろう。僕はそれがどういう映画かほとんど知らないが、タイトルと写真からそう思う。こんな映画を映画好きの彼女と観られたらどれだけ楽しいだろう。

この映画の監督はセッション!の監督と同じ人だ。あの映画は極端に戯画化されたジャズ映画であり、軽く笑って観るのが丁度いい。しかし、あれがシリアスだとしたら、全く笑えない。

公開当時、セッション!評を巡って二人の批評家が小競り合いをしていた。その中でバードマンが引き合いに出されていた。僕はバードマンを観て、大変興奮し、非常に満足したものだが、ラ・ラ・ランドのエマ・ストーンはバードマンにも出演しており、これら3つの映画は僕の中で無視できない関係にある。セッション!は決して優れた映画だと思わないが、その監督がラ・ラ・ランドで一矢報いるなら、僕はアンビバレンスを禁じ得ない。

 

意中の人からはまだ返事が来ない。待つつらさもさることながら、だんだん自信がなくなってきて、それがまたつらい。一緒に映画を観に行ったのは心から楽しかった。それがこの先ずっと続けばいいのに、と思った。ラ・ラ・ランドはきっと一人で観るだろう。

2017.2.12

日曜日。昼前に起きた。

晴れていたので布団を干した。

 

昼からは演奏曲目の選曲会議を行った。

二人だけの小編成による小演奏の準備である。

二人で曲を出し合い、バランスを見ながらセットリストを整える。

 

その後、二人で昼食を食べに行ったが、お気に入りのイタリアンレストランは知らないうちに閉店していた。学生時代にゼミの教授と時々食べに行っていたところで、味も雰囲気も決して悪くなかった。その店は今は居抜きで別のイタリアンが入っていたが、僕が気に入っていたあの感じはすっかりなくなっていた。

昔付き合っていた彼女がその店でバイトをしていたので、店に入るとその人のことを思い出すが、別に大して好きでもなかったし、感慨だとかそういう湿った感情は湧かない。

 

家に帰ってからはうたた寝したり、楽器の練習をしたりした。

 

何をしていても、いつの瞬間も意中の女性のことが頭にある。傷心でもないし、向こうはこちらの気持ちをわかっているのに、どうしても悲恋の感覚があり、こんな恋の形もあるのかと困惑している。

 

夕食の後に散歩に行った。散歩道には神社がある。僕には特段の宗教的主義もないが、神社の持つ視覚的な美的感覚は味わいがある。ほんの少しの時間、そこで一人静かに過ごしていると、心の慰みが得られるような気がするのだ。